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JORSJ  Vol. 50 No. 1 和文概要

1. プライヤー信用のもとで一括納品されない品物のEOQモデル

Yung-Fu Huang and Kuang-Hua Hsu (Chaoyang University of Technology, Taiwan)

 この論文は、小売業における在庫モデルを開発するため、Huang とChung [4], ChungとHuang [2]、およびTeng [7]の研究を統合化しようと試みた研究である。すなわち、取引信用があり、支払いが一定期間内に行われた場合に割引があるという仮定のもとで、一括納品されない品物に対する小売業における最適補充政策を研究することを目的としている。ただし、小売業での販売単価は、仕入れ単価を下回らないとしている。年間の総費用を最小化する発注の最適サイクルタイムを決定するため、数理モデルが提示される。小売業における補充の最適サイクルタイムを効率よく決定するため、利用の容易な定理が導かれる。これまでに公された他の研究者による結果が、本研究の結果の特別なケースであることが示される。さらに、結果を例示するために数値例が与えられる。また、これらの数値例から管理上の知見が述べられる。(田村隆善 訳)

 

2. 最小極大流問題に対する外部近似法

山本 芳嗣(筑波大学) 善家 大輔(防衛省)

 最小極大流問題はネットワークの極大な流れの中から流量が最小の流れを求める問題である。この問題の最適値は、ネットワーク流の制御が十分に行えない場合に、ネットワークがどの程度「非効率的」に使われる可能性があるかを示すのに有効である。この論文では、極大流を特徴づけるギャップ関数を拡張し、問題をDC最適化問題に定式化し、外部近似法を提案する。算法はε-近似と局所探索に基づいており、有限回の反復の後に問題の最適値を与える。

 

3. 無制約最適化問題に対する非単調記憶勾配法

成島 康史 (東京理科大学)

 記憶勾配法は無制約最適化問題,特に大規模な問題を解くための数値解法のひとつであり,Mieleら(1969)のよって最初に提案された反復法である.最近,Narushima and Yabe(2006)は自動的に降下方向を生成する記憶勾配法が提案し,さらに直線探索においてWolfeの条件を課した記憶勾配法のアルゴリズムの大域的収束性を示した.
 本論文では,Narushimaらの記憶勾配法にGrippoら(1986)によって提案された非単調直線探索法を組み込むことによって非単調記憶勾配法を提案する.さらに,提案した手法の大域的収束性を証明すると共に,大規模なテスト問題に対して数値実験を行い,大規模な問題に対する有効性を検証する.

 

4. 最適な投資決定時刻

葛山 康典(早稲田大学社会科学部)

 資本予算における伝統的な手法であるNPV法に従った投資意思決定は、金利やキャッシュフローの不確実性のもとでは、価値を減じる結果を導く恐れがある。
投資の延期という選択肢をリアルオプションとして評価する一連の試みでは種々の不確実性が考慮されてきた。Ingersoll Ross(1992)によって指摘されたように金利の変化はプロジェクトの価値に大きな影響を与える。
 Berk(1999)は金利に関する仮定せずに金利の不確実性のもとでの、投資タイミング決定基準を極めてシンプルな形式で導出している。本論文では、Berk基準を解析的に評価するため、金利の確率過程を特定し分析した。得られた結果を用いて、比較静学とシミュレーションを行ない、Berk基準の定性的な性質を導出し、NPV法と比較した。また導出の過程では、当該プロジェクトに要する資金の調達についての含意が得られた。

 

5. BMAP/D/c 待ち行列の過渡状態における系内客数分布のアルゴリズミックな数値計算

大黒 健太朗,増山 博之, 滝根 哲哉 (大阪大学), 高橋 豊 (京都大学)

  本論文ではBMAP/D/$c$待ち行列の過渡状態における系内客数分布を計算する数値的に安定なアルゴリズムを提案する.BMAP/D/$c$待ち行列とは,汎用性が高く解析的に扱い易い到着過程BMAPを入力とし,サービス時間が一定である複数サーバ待ち行列のことである.提案手法は1サービス時間長ごとに系内客数を観察することにより得られた,系内客数分布の時間発展方程式を基本としている.さらに提案手法によると,予め定めた計算精度を満たしながら任意時点の系内客数分布を計算することが可能であり,安定な場合のみならず零再帰的な場合や不安定な場合に対しても適用可能である.また任意時点における系内客数分布のモーメントの計算方法も与える.最後に提案手法を用いた数値実験を通して,安定,零再帰,不安定の各場合における系内客数分布の時間的発展の様子を調べた.

 

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