トップページへ戻ります
「論文誌」トップ

 

JORSJ  Vol. 50 No. 2 和文概要

1. 任意の所要時間とコストをもつアクティビティの所要時間ベクトルの上界と下界に関する研究

Yi-Kuei Lin(Vanung University, Taiwan)

  大規模プロジェクトを記述するためにAOA形式(プロジェクトをアクティビティとノードで記述したもの)で表現されたプロジェクトネットワークを使用する。アクティビティの所要時間とそのコストは何れも、整数値をとる確率変数であって、任意の確率分布をもつ。プロジェクト時間(すなわち、プロジェクト完成の期限)の制約、および予算制約のもとで、プロジェクトの各アクティビティの所要時間をいかにスケジュールするかについて議論する。プロジェクトのアクティビティの所要時間について、すべての上界ベクトルと下界ベクトルを生成するため、2つのアルゴリズムを提案する。プロジェクトのアクティビティのすべての実行可能時間は、それら上界ベクトルと下界ベクトルの間にある。(田村隆善 訳)

 

2. 階層型モバイルIPネットワークにおける移動端末のアドレス更新の動的制御

金 湘龍、高木 英明(筑波大学)

   階層型モバイルIPネットワーク第6版(HMIPv6)では、モビリティ・アンカー・ポイント(MAP)と呼ばれるルーターが移動端末のアドレス更新サービスをローカルに行う。しかし、MAP領域内の端末数が増えるとMAPの負荷が増え、新端末やハンドオフ端末を受け入れられなくなるのが欠点である。本研究では、MAPの負荷を軽減するために、移動端末に対する動的なアドミッション制御法を提案する。そこでは、新しい端末、通信中でないハンドオフ端末、通信中のハンドオフ端末に対して異なる損失コストを課し、半Markov決定過程論により、総平均コストを最小にする最適ポリシーを決定する。この動的制御法は、静的な帯域予約法(ガード・チャネル法)に比べ、通信中のハンドオフ端末の強制終了確率を低くする効果のあることが数値計算により示される。

 

3. 確率モデルによるバイナリおよびターナリAHPの推定手法

西澤 一友(日本大学)、 高橋 磐郎(筑波大学)

  本論文では、バイナリAHPおよびターナリAHPにおけるBradley-Terryモデルをもとにした確率モデルによるウエイト推定法を提案している.推定法は最小二乗法を基にしているが、同時に提案したミニマックス法と一致することを示した.さらに緩和パラメータを導入することによって従来の最尤法では適用できない、比較数がかなり少なく既約でない一対比較についても対応可能となることを示した.そして提案手法を適用した例として、スポーツのプレーヤーの強さの評価など、いくつかの例を示した.


4. 二群判別に対するミニマックスアプローチの多群への拡張

北原 知就,水野 眞治,中田 和秀 (東京工業大学)

  本稿では,Lanckrietらによって提案された二群判別に対するミニマックスアプローチの多群への拡張について扱う.Lanckrietらは平均ベクトルと分散共分散行列が既知な二つの群があるとき,これらの群を可能なすべての分布形を考えたときの最悪の場合の誤判別率が最小になる線形関数で判別する手法を提案した.
 多群判別の場合,最悪の場合の誤判別率を最小にする線形関数を求めることは困難である.そこで本稿ではペアごとの最悪の場合の誤判別率という指標を導入した.これは一定の条件下で最悪の場合の誤判別率の良い近似となっている.そこで本稿ではペアごとの最悪の場合の誤判別率が最小になる線形関数で判別することを提案する.このような判別関数を求める問題は二次錐計画問題に帰着され,効率的に解くことができる.さらに本稿では簡単な数値実験を行い,サポートベクターマシンに匹敵する結果が得られたことを示す.

 

5. 確率的な境界を持つオプションの評価

木島 正明 (首都大学東京,京都大学大和証券グループ寄附講座)、 鈴木 輝好 (北海道大学)

   資産のリターンが正規分布となるような経済で,確率的なノックアウト(イン)境界を持つオプションの価格付け手法を提示した.その際,単純だが強力な二つの結果を示した.第一は,適切なニューメレールの選択に基づく測度変換は価格評価を単純化しうることである.そして第二は,確定的な係数を持つドリフトの無いガウス過程における鏡像原理である.これらの結果を利用する価格付けの具体例として,ノックアウト・エクスチェンジオプションの解析解を導出した. また同様にして割引社債の価格が得られることを示した.

 

6. 需要量が価格と待ち時間に依存する予約販売システムにおける最適価格設定

Peng-Sheng You (National Chia-Yi Univ. Taiwan)

 本論文では、限られた計画期間において、在庫品を販売する予約販売システムを取り扱っている。計画期間をいくつかの予約期間に分割し、各予約期間の期末に予約発注量を発送する。需要量は価格と待ち時間に依存し、さらに顧客は受け取る前にキャンセルできるものとしている。二つの連続時間モデルを提案し解析しており、最初のモデルでは返品価格と販売価格の比を一定としているが、もう一つのモデルでは時間に依存するものと仮定している。両方のモデルに対して予約期間、最適販売価格や発注量を決定するための解法を示している。(森田 浩訳)

 

「論文誌」トップに戻る