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JORSJ  Vol. 50 No. 3 和文概要

1. 不確定データ下における加法DEAモデルによる非効率性評価―IAUK部門(Islamic Azad University, Karaj Branch)への適用−

Reza Kazemi Matin, Gholam Reza Jahanshahloo, and Abdollah Hadi Vencheh (Islamic Azad University, IRAN)

 不確定データを含む包絡分析法(IDEA)(Copper, Park and Yu [1999])において,対応するDEAモデルは非線形となるため,研究の関心はそれらを線形計画モデルへ変換することに注がれている.この問題に対する現在のアプローチではほとんどの場合において意思決定変数の数が劇的に増えるが,これらのモデルの優れた適用結果ゆえにIDEAは様々な場面で受け入れられている.本論文では,不確定データ下における意思決定ユニット(DMU)の技術的非効率性を評価するため加法DEAモデルが用いられている.非線形DEAモデルを等価な線形モデルに変換する際に「変換の不変性」が用いられ,非効率性評価のために一段階法(1-stage approach)が採用されている.提案するアプローチは,以前の方法に比べて実際への適用に際して計算負荷を改善している。  (鈴木久敏 訳)


2. 探知確率を支払とする多段階捜索配分ゲーム

宝崎 隆祐(防衛大学校)

 この論文は,捜索者と目標が参加する多段階捜索配分ゲーム(MSSAG)と呼ばれる2人ゼロ和捜索ゲームを取り扱っている.捜索活動が長期に及ぶ場合,ゲームを多段階で論じることが必要となる.捜索者は目標を探知するため,離散捜索空間上に捜索資源を投入し,一方目標は捜索者を回避するため,限られたエネルギーの下での移動を行う.捜索の各段階において,捜索者は目標の位置と残存エネルギーを知らされ,目標は捜索資源を購入するための捜索者の残存予算を知る.ゲームの支払は捜索期間中における目標探知確率である.これまで,このような多段階の捜索配分ゲームを取り扱った研究は無い.論文では,このゲームを動的計画問題として定式化し,ゲームの均衡解に関する解析的な式を導出している.また,グラフ理論的観点から,及び数値例による分析により,均衡解の性質を明らかにしている.

 

3. サプライチェーンにおけるオーダ未充足率をベースにした多品種生産計画システム

上野 信行(県立広島大学)、 奥原 浩之、 石井 博昭(大阪大学)、 渋木 宏明(マツダ梶j、
倉本 敏明(潟純Cエヌエス)

 自動車業界において顧客ニーズの多様性や市場の変化への即応性の実現が求められている。本論文は、自動車業界において、多品種、需要の不確実性、納入リードタイムは、生産リードタイムより短いなどの特徴であるマスカスタマイゼーション環境におかれている部品サプライヤの生産計画システムとその設計法を提案する。まず、製造業者と部品サプライヤの間のマスカスタマイゼーション環境のコラボレーションモデルを説明し、オーダに対する未充足の度合いを推定する式を定義し、その性質を述べる。2つ目には、マスカスタマイゼーション対応の生産計画問題を確率計画問題として定式化し、その問題の部分問題が線形計画問題となることを示す。Relaxation戦略を用いて、部分問題を逐次に解くことにより実用的な近似解を求めるアルゴリズムを提案する。3つ目に、このアルゴリズムを組み込んだマスカスタマイゼーション対応の生産計画システムの設計法を述べる。

 

4. 電気回路判別器: グラフ上の半教師付き学習機械

平井 広志 (京都大学)、 室田 一雄 (東京大学)、 力徳 正輝 (ジャストシステム)

 本論文では、グラフ上の半教師付き学習のための学習機械「電気回路判別器」を提案する.この判別器は非線形電気回路理論に基づいて構成され,データセットを電位の符号によって分類するものである.判別電位を効率的なネットワークフローアルゴリズムによって求めることができるので,拡散カーネルなどのグラフカーネル法で必要となる演算量の多いカーネル計算を必要としないという特徴がある.さらに枝方向の影響,非対称的な従属性等といった様々な枝特性をも表現する高いモデリング能力を備えており,複雑大規模な現実問題への応用も十分期待される.実験結果においては,拡散カーネルやその他標準的な手法と比較しても十分良い性能を有していることが示された.

 

5. 動的資産売却問題のスイッチングモデル

Mong-Shan Ee (University of Nottingham Malaysia Campus, Malaysia)、 生田 誠三

 本論文では、複数個の同質な資産をある期日までに売却しなければならないという資産売却問題において、売手が「買手に売値を示すか(Posted Price Mechanism)」「買手に買取価格を示させるか(Reservation Price Mechanism)」を任意の時点でスイッチさせることが許されているとした離散時間のモデルを定義し、その最適スイッチング戦略の構造を明らかにしている。主要な結論は2点。ひとつは、理論上、スイッチング時点が複数個存在することがあるということ、ひとつは、スイッチング戦略を取らない場合にこうむる機会損失は、数値計算の結果、十数\%以上にもなることがあるということ。前者は、この戦略の構造上の複雑さを示す結論、後者はスイッチング戦略の現実的重要性を物語る結論。

 

6. 競争環境にある平面上での複数施設の配置問題

Zvi Drezner, Tammy Drezner (California State University-Fullerton, U.S.A.)、鈴木 敦夫(南山大学)

 本論文では,平面上に離散的に需要点(顧客)と,既存の商業施設がある場合,そこに1つもしくはそれ以上の商業施設を新たに設置し,従来既存の商業施設を利用していた顧客のうちから,なるべく多くの顧客を新商業施設に獲得するための立地場所を求める問題の定式化とあらたな解法を提案する。われわれの方法は,まず,新たな商業施設がなるべく多くの顧客を獲得できるような複数の立地候補点を求め,その中から
最適な立地点を求める問題を最大被覆問題として定式化するものである。論文では,まず,100点の需要点と7つの既存の商業施設の場合を例題として取り上げ,われわれの解法について詳しく説明する。さらに,実例として,愛知県瀬戸市のコンビニエンスストアの例を挙げる。瀬戸市には,32のコンビニエンスストアと348の町丁目があり,これらをそれぞれ,既存の商業施設,需要点として新たな立地点を求める。

7. $\mathbb{R}^3$ における直角ノルムを用いた多目的配置問題の準有効解

金 正道(弘前大学)

 本論文では,3次元空間における直角ノルムを用いた多目的配置問題とミニサム型配置問題を扱う.主な目的は,多目的配置問題のすべての準有効解を求めることである.3次元空間にいくつかの需要点が与えられたとき,各需要点を通り各座標軸と直交する平面を描き,描かれたいくつかの平面の共通部分が1点になるときその点を交点とよぶ.まず,準有効解のミニサム型配置問題の最適解による特徴付けによって,準有効解であるような交点を順次線分で結ぶことによって,すべての準有効解の集合のフレームが定まり,そのフレームが定まるとすべての準有効解の集合が定まることを示す.また,交点が準有効解であるかどうかは,その交点から見た需要点の位置関係を表す summary diagram によって容易に判定できることも示す.これらの結果を基に,すべての準有効解の集合のフレームを求めるフレーム生成アルゴリズムを提案する.

 

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